自分に合ったキャンピングカーの選び方
コロナによるアウトドアブーム牽引の影響もあったと思いますが「一般社団法人日本RV協会」によると、2023年のキャンピングカー販売売上総額は新車・中古車を合計して過去最高の1,054.5億円(対前年比138%)となり、販売売上総額は伸び続けています。
様々な室内レイアウトやオプションなど、進化し続けるキャンピングカーの選択肢の多さから、迷われる人も多いことでしょう。自分に合ったキャンピングカーを選ぶには、次のポイントを考えることが重要になるかと思います。
どんなシーンで使うのか?使用目的を明確にしよう
<どのようなシーンで使うのか?> 例えば・・・
①夫婦2人のくるま旅 中長期間?短期間?
②ファミリーで土日や数日間の休みを利用しての
旅行やオートキャンプなど
③観光や写真撮影、釣り、スキー、登山など
アウトドアの趣味で使いたい
④ペットと一緒にくるま旅をしたい
⑤1人で使用することが多い
<日常にも使用する?> 例えば・・・
①通勤や仕事、日常の買い物にも使用したい
②休日などオフの時だけ使用したい
<運転のし易い方が良い> 例えば・・・
①大きな車両は運転に自信が無い
②乗り心地が良く、パワーがある車両が良い
③狭い道には入りたくない
<車体や装備は?> 例えば・・・
①トイレ・シャワーは欲しい
(自然の奥まで入り込み、数日過ごしたい)
②荷物が多い(大きな収納スペースが欲しい)
③スキーや登山に使いたい
(ハードシェル・4WD・FFヒーター・狭い道)
④電化製品を使いたい
(大容量バッテリー、ソーラパネルなど)
⑤マンション上部に在住(ソーラ発電が便利)
⑥価格は予算の関係上、この金額以内にしたい
⑦夫婦でもお互いの時間を大事にしたい
(ベッド展開が必要無いレイアウト)
⑧余り目立ちたくない(バンコン選択など)
キャンピングカーは、高額な買い物です。同じタイプのキャンピングカーでも、車内レイアウトや装備の種類によって適したシーンは変わってきます。後悔しない為にも、使用目的をしっかり明確にして、自分に合った1台を見つけましょう。
「どんなシーンで使うのか?」「誰とつかうのか?」「どんな過ごし方をしたいのか?」を明確に整理することで、キャンピングカーのタイプや最適なサイズ、内装レイアウト、必要な装備が見えてきます。
キャンピングカーの種類と特徴を解説します
最初はどんなキャンピングカーが自分に向いているのか?大きいから運転難しいそうだな?とか色々な疑問や不安がありますよね。私もそうでした。
そこでキャンピングカーの「種類」と「特徴」について説明します。
【自走式キャンピングカー】
①キャブコン
②バンコン
③軽キャンパー
④バスコン
⑤トラキャン
⑥フルコン
【牽引式キャンピングカー】
①キャンピングトレーラー
「コン」は「コンバージョン」の略で「改造」という意味です。「キャブコン」は、エンジンの上に運転席や助手席がある形( キャブ オーバー型)の車を指し、通称「キャブコン」と呼びます。
同様に「バンコン」は、同じキャブオーバータイプも多いのですが、ハイエースやキャラバンなどの1BOXの「バン」と呼ばれる貨物車を改造しているので、通称「バンコン」と呼びます。
このページでは、販売台数の約9割を占める「キャブコン」「バンコン」「軽キャンパー」について、ご紹介します。
1.キャブコン(キャブコンバージョン)
「キャブコン」は、主にトラックのキャブ(運転席)と呼ばれる部分を残して、荷台にシェルと呼ばれる「居住スペース」を載せたものです。
運転席の上に「バンクベッド」と呼ばれる「こぶ」の様な出っ張りのある車が多く、多くの方が「キャンピングカー」と言えば、この形をイメージするのではないでしょうか?
近年のキャンピングカーに占める販売台数の「キャブコン」の割合は、約3割前後と言われています。
キャブコンのメリット
①広い居住空間に「ベッド」「キッチン」「多目的ルーム」「クローゼット」などがあり、余裕で立つことができる室内高や通路幅、調理作業のし易さや、収納量の多さなど、快適性が高く、ストレスの少ない旅が出来ることも魅力です。
②シェルにFRP(繊維強化プラスチック ※バスタブもFRPが多い)を使用したタイプが多く、断熱性や遮音性にも優れ、トイレや温水シャワーなどの装備が充実したモデルもあります。
その広さを活かして就寝定員も5名以上の車両もあります。イメージするのは、主にファミリー層や、中長期に渡る夫婦の「くるま旅」でしょうか。
キャブコンのデメリット
①車体(特に高さ、車幅)が大きいので、狭い道での取り回しや、高さ・横幅制限のある駐車場などに困る場合があります。
②一般的には、重いシェルの影響で車体の重心が高く、バンコンと比較すると、走行時の安定性に欠け、大きなシェルは横風の影響を受けやすい点があります。
③トラックベースの車体が多く、重心の高さからロールしやすく、乗り心地がバンコンと比較すると劣ります。
※ターボ付きや、ビルダーで事前に足回りなど強化した車体もありますので、一概には言えない部分はあるので、一般的な仕様の場合と考えてください。
キャブコン その他
その大きさから取り回しが気になりますが、トラックベースのものは、元々の用途上、小回りの効くものが多く、意外に運転し易いです。
長さも5m未満のものも多く、むしろハイエース スーパーロングの方が5.4mと長いのです。只、車幅や車高が大きいので、狭い道のすれ違いや陸橋など高さ制限のある場所は要注意です。
キャブコンの価格
キャブコンの新車価格は、一般的に500万~1,200万円ぐらいで販売されています。
どのようなオプションを取り付けるのかで随分と価格は変わってきますが、ビルダーでなければ、取り付け出来ないオプション、販売店で後付け出来るオプションがあるので、目的や用途を明確にして予算と相談しましょう。
2.バンコン(バンコンバージョン)
バンコンとは、主にハイエースやキャラバンなどの「1BOX・バン」をベースにしたキャンピングカーです。
外観は架装が少なく、内装をキャンピングカー仕様にビルドしている車両も多い為、目立ちにくい?ので、普段使いし易いタイプです。
主にトヨタなどのメーカーから、キャンピングビルダーへ架装する部分の座席など、何も無い状態で「特装車」として納車されたものをビルダーで作り込んでいきます。
近年のキャンピングカーに占める販売台数の「バンコン」の割合は、約5割前後と言われ、最も販売台数が多いタイプになります。
バンコンのメリット
<ファーストカーとしてマルチに普段使いし易い>
ベース車両のサイズも豊富で、見た目は「キャンピングカー」とわかりにくいので、周囲の目を気にせず(目立ちたい人は別ですが)普段使いし易い点は大きな魅力のひとつです。
多くの人が、バンコンを選択する大きな要素の一つだと思います。
<乗り心地や走行性能が比較的高い>
車体は一般的に販売されているバンや1BOXを内装だけ架装したものが多く、キャブコンと比べると比較的、乗り心地も良く、パワーもあり運転し易い。
<サイズ的に機動性に優れている>
「キャブコン」と比べると、運転し易いサイズ感で、狭い路地や山道なども比較的走りやすく、駐車スペースの確保も容易なサイズも選択し易い豊富なラインナップです。立体駐車場の一般的な2.2mに対応した車両もあります。
<価格>
内装の架装がメインとなる為、一般的には、キャブコンより価格が安い。
バンコンのデメリット
<スペース的にキャブコンと比較すると劣る>
当然と言えば、当然ですが、キャブコンやバスコンと比較すると、車内の広さや高さの面で劣るため、居住人数によっては、狭く感じたり使いづらく感じたりします(例えば、ベッド展開する際に荷物を全部交わしたり、1度車外に出て待機したりなど)
収納スペースもキャブコンと比較すると少ないことは否めません。
<外気温の影響を受けやすい>
夏は暑く、冬は寒く、外気温の影響を受けやすくなります。この点は、各ビルダーで使用する断熱材の種類や量、内装の仕様にもよっても違うので、しっかりと内容や断熱性能の効果を確認しましょう。
快適性が随分変わってくるポイントのひとつです。
バンコンの価格
バンコンの新車の価格帯は300~800万円。装備内容は様々ですが、最新のリチウム電池搭載でエアコンなど充実装備の仕様だと1,000万円前後するモデルもあります。目的や用途を明確にして予算と相談しましょう。
3.軽キャンパー
軽キャンパーは、軽トラックや軽バン・ワゴンをベースにしたキャンピングカーで、他の種類のキャンピングカーに比べて、比較的価格が安く、コンパクトで取り回しし易いことから、近年人気が高いモデルです。
バリエーションは豊富で、軽バンをベースにした「軽バンコン」、軽トラックベースの「軽キャブコン」、軽トラックの荷台にシェルを積載した「軽トラキャン」などがあります。
何といってもサイズがコンパクトなので、登山口まで狭い山道を走ったり、1人旅や夫婦旅など、少人数での使用に適したキャンピングカーになります。
近年のキャンピングカーに占める販売台数の「軽キャンパー」の割合は約1.5割前後と言われ、年々、その割合は増えています。
軽キャンパーのメリット
<小回りが利き、普段使いし易い>
「軽バンコン」タイプは、外観はキャンピングカーと気づかないほど普通です。コンパクトなため、運転もし易く普段乗りにも違和感なく活用できます。
<低価格で経済性にも優れている>
車種にもよりますが、およそ車両本体価格200万円台から購入が可能です。また自動車税、自賠責保険、任意保険、高速料金、タイヤ・エンジンオイルなどのランニングコストに関する経済性にも優れています。
<種類が豊富>
①軽バンコン
軽バン・軽ワゴンの内装をキャンピング仕様にカスタムした「バンコン」はリアシートをベッド展開すると、一般的に大人2名分程度のベッドを確保でき、1人~夫婦など、少人数での使用に向いたキャンピングカーです。
軽自動車の枠に収まるポップアップルーフ仕様のキャンピングカーだと、3~4人分のベッドスペースを確保でき、ポップルーフを上げると車内で立つことも出来、解放感ある室内となります。
②軽キャブコン
軽トラックの荷台にシェルを取り付けた全高の高い「軽キャブコン」は、サイズが軽自動車の枠に収まらない為、8ナンバー登録となります。只、サイズが大きくなる分、広くて快適な「居住性」があり、車内で立つことも出来ます。
バンクベッドを利用すると、3~4人分のベッドスペースが確保できるものが多く、1人~夫婦~小さな子供と一緒にファミリーでの使用が可能なモデルとなります。
最近は「軽バンコン」「軽キャブコン」共に、「エアコン」や「電子レンジ」「FFヒーター」等を、オプションで、コンパクトな室内に設置したものも多いですね。
③軽トラックキャンパー
軽トラックの荷台に居住用のシェルを積載したモデル。シェルは350㎏以内で、脱着できることが前提となるが荷物扱いとなり、近年はDIYで自作して「YouTube」などSNSで紹介している人も多いですね。「くるま旅」をしていると、よく見かける様になってきました。
軽キャンパーのデメリット
<居住空間>
そのコンパクトさが、メリットともなる「軽キャンパー」ですが「キャブコン」「バンコン」等と比較すると、やはり「居住空間」が狭い事は否めません。使用目的、用途、使用人数などを明確にして、用途に合ったキャンピングカーを選択したいものです。
<動力性能の不足>
ターボ付きの軽ワゴン・バンならまだ良いのですが、ターボの設定が無い軽トラックベースの場合、力不足は否めません。架装した車両であれば車両重量が増加するので尚更です。高速道路や長く続く上り坂、急な山道では、パワー不足を感じてしまう事もあるでしょう。
<思ったほど燃費は良くない>
「軽ワゴン・バン」「軽トラック」は、元々、荷物を運ぶことを前提としたローギア設定の為、軽の乗用車と比較すると思ったほど、燃費は良くありません。例えばベースが「スズキCARRY(2024年)」ATだと「WLTCモード」で、15.7㎞/ℓ、「軽トラックキャンパー」のオーナーに聞く限りでは、ATだと10~12㎞/ℓ前後が多い様です。僕のハイエースで10㎞/ℓ前後、走る事を考えると、このギヤ比と架装重量、エンジンパワーがバランスしていない事も影響しているのではないかと思います。
軽キャンパーの価格
軽キャンパーの新車の価格帯は、200万~400万円。「軽バンコン」~「軽トラックキャンパー」~「軽キャブコン」と選択肢が多い事も魅力のひとつです。
尚、各タイプの「メリット」「デメリット」は一般的な説明であり、当初から、そのデメリットを改善した仕様で販売されているものもありますので、ご注意ください。例えば、モデルによっては、ロールが大きく、乗り心地が余り良くないので、最初からサスペンションを強化して販売しているなど。
まとめ
キャンピングカーを購入しようとする場合
①どんなシーンで使うのか?誰と使うのか?使用目的や用途を明確にしましょう。
②使用目的に沿った居住性と必要な装備を決定しましょう。
③可能であれば、①②に沿ったレンタカーを借りて、イメージ通りか?確認しましょう。
きっと自分に合ったキャンピングカーが見つかり、自分らしい素敵な、車中泊で「くるま旅」がスタートすると思いますよ!