車中泊を快適に「トイファクトリー 鉛サブバッテリーをリチウム化」
鉛サブバッテリーをリチウム化したい理由
「ヤドカリⅡ号(GT)」は「POWER PANASONIC PS121000 」(鉛×2)を、サブバッテリーに積んでいます
新車搭載から約4年半が経ち、電圧降下が著しくなったので、同じバッテリー(新品×2)に交換しましたが、約1年後、1~2日で電圧降下し警告灯が点滅し始めました

当りが良くなかったのか?管理がまずかったのか?はたまたこの1年の間に約半年のくるま旅はハードだったのか?
それにしても1年間のランニングコストに、約11万円(送料込)はかかりすぎます
なので、これを機会にリチウムバッテリーを検討する事にしました
サブバッテリーとは?
主にエンジン始動が役割のメインバッテリーと違い、サブバッテリーはエンジン停止中、車内の家電製品に電力供給するバッテリーを指し「鉛バッテリー」「リチウムバッテリー」「ポータブル電源」などがあります



近年、車中泊を快適に過ごす目的で、家庭用エアコンや電子レンジ、冬や夏の寒さ暑さ対策、調理用家電などの搭載ニーズが増え、サブバッテリーの性能の高さがより求められていますね!
車中泊にサブバッテリーがあるとどうなる?
サブバッテリーがあると、車内で家電を使用する事が出来、車中泊を便利で快適にできる重要な装備です。例えば・・・
調理家電で手軽に料理などが出来る
電子レンジ・炊飯器・ホットプレート・IHクッキングヒーター・電気ケトルなど
①温かい料理は美味しくほっこりした時間を過ごせる
②自炊で旅の費用も節約
③自炊することで野菜など健康にも配慮し易い
④調理が簡単で時短にも繋がる
⑤一酸化炭素中毒の心配がない



僕は旅先で仕入れた食材を簡単調理して、景色の良い場所で頂く事が多いです
カセットガスコンロでも良いのですが、結構ガス消費量も多く、「旅先で空ボンベの処分が難しい」「暑い時期は車内に熱がこもって更に暑い」、家電だとタイマーも使える手軽さや時短が魅力です
下記ページもご覧下さい
”車中泊でくるま旅「車内で簡単調理!」”






冷蔵庫で食材や飲物が保存出来る
①要冷蔵のバリエーションある食材の保存
②旅先の土産や名物の保存
③冷たい飲物は熱中症防止にも有効
④冷凍・冷蔵食品の保存(時短・節約)



地の美味しい食材も、冷蔵庫で保管出来ると食事のバリエーションも豊かになりますね


冷暖房家電で快適に過ごせる
①冬期 FFヒーター、電気ストーブ、電気毛布など
②夏期 エアコン、スポットクーラー、扇風機など
③夏期 熱中症対策にも有効
④冬期 火災、一酸化炭素中毒にも有効



エンジンをかけないので、燃料やメインバッテリーの消費を抑えながら、車内を快適に過ごし易くできます
家で普段使いの家電を使用出来るのもメリットです
下記ページもご覧下さい
”車中泊でくるま旅「暑さ・寒さ対策」”
”車中泊でくるま旅「暑さ・寒さ対策(AC編)」”




車内でテレワークなども可能
パソコンや携帯電話の充電もできるので、通信環境などが整っていれば、車内でテレワークも可能です



僕も新型コロナの時は、時折、車内でテレワークしていました
今は車中で対応出来る仕事も多く、旅をしながら働く「ノマドワーカー」というライフスタイルも魅力的ですね


災害時のライフラインとして
大きな災害時には電気やガス等のインフラが遮断される事もありますが、最低限の電気のライフラインの確保ができ、安心度はとても高くなります
下記のページもご覧下さい
サブバッテリーの種類と特徴



主に「バッテリー(鉛・リチウム)」「ポータブル電源」の3タイプがあります
それぞれにメリット・デメリットがあり「旅のスタイル・期間」「使用家電(W数や頻度)」「予算」などで選択肢が変わってきますね!
鉛バッテリー(ディープサイクル)
始動用バッテリーとは異なり、繰り返しの放電と充電に強いディープサイクルバッテリーが使われます
一般的には「リチウムバッテリー」や「ポータブル電源」と比較すると安価で安全性が高いと言われます
メリット | デメリット |
---|---|
安価 | 重い(リチウムの2~3倍) 燃費にも影響 |
入手しやすい | 充電サイクル 300回~500回 |
安全性が高い | 充電時間が長い |
放電深度 50%以下を推奨 |
鉛バッテリーは過放電に弱く、化学反応の関係から、11.5V以下になると電極の劣化が進み、寿命を早めてしまうと言われています



トイファクトリー電装システム
11.5Vまで低下⇒警告
10.5Vまで低下⇒過放電異常
10V以下⇒12V機器全てが停止
11.5Vに低下時点で直ぐに充電が必要ですが、くるま旅途中、タイミング良く充電出来ることは、余り無いと思います




30.6Kg(カタログ値 30.84Kg)


「POWER PANASONIC PS121000 」は、その鉛の量の多さや信頼性の高さから、多くのキャンピングカーに搭載され、AC-DELCO等との比較でも、鉛電池の中で高額なバッテリーの部類に該当します
リン酸鉄リチウムイオンバッテリー
リチウムイオン系バッテリーは「約8種類」あり、キャンピングカーなどで人気が高い種類が「リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリー」です。熱暴走が起こりづらく、安全性が高いと言われています
メリット | デメリット |
---|---|
放電深度 容量の90%程度 | 鉛バッテリーの2倍〜3倍と 価格が高価 |
充電サイクル 3,000~5,000回 | 専用の充電器等が必要 |
高速充電可能 充電時間が短い | 高度な安全管理が必要 BMSや関連機器 |
軽量・コンパクト (鉛の約1/2~1/3) 燃費にも影響 | 低温性能が低く低温下では BMSが働き充電停止 |
衝撃に弱い (鉛バッテリー比較) |
※BMS(バッテリーマネジメントシステム)は、バッテリーを常時監視し、安全で長寿命に使用する為の制御システムで「過充電保護、過放電保護、過電流保護、過熱保護、短絡保護」のほか、数多くの機能があります



一般的には「鉛」と比較すると高額なので「旅の期間・どんな家電をどのくらい使うか?・何年乗るか?」など、コスパを含め、総合的にリチウム? 鉛?の判断が必要ですね
中長期のくるま旅や、使用頻度が多い場合、初期投資は高いかもしれませんが、少し長い目で見れば経済的だと思います




カタログ値 16.53Kg
ポータブル電源
最も手軽なのが、ポータブル電源で「バッテリー・インバーター・充電器」が一体となっていて、車中泊だったり、自宅だったり、キャンプで使ったり、防災用としても人気が高まっていて「リン酸鉄リチウムイオン」が主流となっています



購入後、すぐに「AC・DC・USB電源」が使用でき、運搬し易く「小容量~大容量」と幅広い種類があります
車中泊経験が少なかったり、DIYや電気関係が苦手な方にも、お薦めの電源だと思います
僕は「鉛バッテリー(100Ah×2)」と「ポータブル電源(125Ah 三元式)」を併用しています



注意点
正弦波に対応したポータブル電源を選びましょう!(近年、殆どの機器が対応していると思いますが・・・)
電流波形には「正弦波・修正正弦波・矩形波」の3種類があり、多くの家電は正弦波以外だと未作動や故障に繋がります
又「パススルー(充電と出力を同時)」でも機器へのダメージが無い機種を選ぶと、家電を使用しながら、ソーラパネルを接続(充電)出来たり、時間も効率的に使えます
サブバッテリーの選び方
まず用途をはっきりしましょう



どのバッテリーを選べばいいのか分からない?という方も多いと思います
まず「どんな家電をどのくらい使用したいのか?」使用目的がはっきりしていないと電力の過不足に繋がります
①使用する家電の種類の例
・調理家電(ケトル、ホットプレート、炊飯器など)
・電子レンジ
・冷蔵庫
・ドライヤー
・パソコン、携帯
②どのくらいの期間の「くるま旅?」
・1~3日
・1週間程度
・数週間~数ヶ月
③くるま旅のスタイル
・滞在型?移動型?(走行充電量に影響)
・外食が多い?自炊が多い?
・ノマドワーカー?
用途に合うバッテリー容量・出力を選ぶ



使用する家電の消費電力(W数・起動電力含む)と、稼働時間で、およそ必要なバッテリー容量が把握出来ます
実際には置き場所や機器類の制約の範疇で適切な容量を選択しましょう!
今回、僕が選択した「リン酸鉄リチウムバッテリー」は蓄電容量が「140Ah」(電力W=電流A×電圧V)ざっくりですが「140Ah×12V×(放電深度90%で試算)×2個=3,024W(252Ah)」の電力を供給可能です
1000Whのポータブル電源だと、1000Whの家電を1時間使用出来ます。
只、バッテリーにダメージを与えず使用出来る電力量は「リチウム」で、約90%程度「鉛」で 約50%程度と言われ、1000Whのリチウムだと、900Wh程度となります
僕が車内で使用している家電を例にしてみると・・・
例えば、冷蔵庫の消費電力は約37W(外気温、設定温度や庫内温度でコンプレッサー稼働が変動)5割の19Wで試算すると「19W×24h=456Wh(38Ah)」の電力消費になります
使用家電 | およその消費電力と稼働時間 |
---|---|
冷蔵庫(37W) | 19W×24h=456W(38A) |
炊飯器(250W) | 250W×40m=333W(14A) |
ホットサンドメーカ (550W) | 550W×20m=183W(15A) |
IHクッキングヒータ (1,000W) | 1,000W×20m=333W(28A) |
電子レンジ (900W-1,200W) | 1,200W×3ⅿ=60W(5A) |
ホットプレート (650W) | 650W×30m=325W(27A) |
FFヒーター (8W~33W) | 20W×1h=20W(2A) |



例えば電子レンジの消費電力が、1,200Wだと、起動電力は「1.1~2倍」の「1,320~2,400W」必要とされ、電源が瞬間最大出力「2,400W」以上に対応してなければ起動しません
例えば僕の1日の普段の過ごし方だと、ざっくりこのぐらいでしょうか
例:電力OUT | 例:電力IN |
---|---|
冷蔵庫(38Ah) 19W×24h=456Wh | 走行充電(60A) 100Km/日 20A×3h |
炊飯器(14 Ah) 250W×40m×1回=333Wh | ソーラ充電(40A) 220W×0.7掛×3h=462W |
ホットサンドメーカー(15A) 550W×20m=183Wh | |
IHクッキングヒーター(28A) 1,000W×20m=333Wh | |
電子レンジ(10A) 1,200W×3ⅿ×2回=120W | |
<合計>105A | <合計>100A |
※実際には「インバーターロス(10~20%)」「使用環境(外気温、天候、ソーラの有無他)」「バッテリーのダメージ度」「起動電力」「冷蔵庫やFFヒーターの稼働時間、設定温度」などの諸条件により変動します



停滞や荒天を除き、リチウム(140A×2)ポータブル電源(125A)で、合計約400Aとなり、中長期の「くるま旅」も大きな支障なく継続できそうです
家電のおよその必要電力が把握出来れば、適切なバッテリーを選択できます
「リン酸鉄リチウムバッテリー」に載せ替える
電力システムは、どこまで変更が必要か?
いよいよサブバッテリーを「鉛バッテリー」から「リン酸鉄リチウムバッテリー」へ載せ替えします



比較的安全性が高いとされる「リン酸鉄リチウムイオンバッテリー」ですが、エネルギー密度が高いリチウムの安易な載せ替えの危険性は数多く指摘されています
そこで関連する数多くのHPや動画を参考にしながら、既に載せ替えした方々にアドバイスを頂きました。ありがとうございました



僕は元々専門知識がある訳では無く、万一の事故の場合は自己責任と認識したうえでの載せ替えです
決して載せ替えを、お勧めしている訳ではありません。参考にされる場合は自己責任でお願いします
トイファクトリーの通知
<確認出来た事項>
トイファクトリーでは、2024年からサブバッテリーにリチウム「SUPER-B(オランダ製)」を選択出来る様になりました
これまで安全性が担保出来ないと搭載を見送ってきたトイファクトリーが採用したリチウムなので、電気自動車と同様にBMS性能や衝突時の耐衝撃性(バッテリー置き場所の変更は無さそうなので)を含め、高い安全性が確認出来たのだと思います
只、Net上の動画やHPを確認する限りでは、リチウムに交換する場合でも、従前の電力システムが使用され、某メーカーでもトイファクトリーの電力システムで検証(使用リチウム パイロンテック)して問題ない事を確認しているようです
<充電コントローラー>
充電コントローラーは「鉛用」なので、充電電圧の関係で満充電にはならず(96%前後)満充電にする為には 「リン酸鉄リチウム用」への交換が必要ですが、トイファクトリーでは、リチウム搭載時も「鉛用充電コントローラー」を使用しているようです。
※発注した「リン酸鉄リチウム用充電コントローラー」は、未だ届かず(既に1ヵ月以上)「既存の充電コントローラー」のままですが、モニターは時折100%と表示され「ソーラ充電+走行充電」で、カバー出来ている様です。この事からも既存の鉛用充電コントローラーを使用しているのでは?と推測されます(2026.03現在)


選択した「リチウムバッテリー」は?
「LI-TIME 12V 140Ah Bluetooth ヒーター付」
①100Ah⇒140Ah 入力、出力関連は変更せず
②Bluetooth⇒スマホでバッテリーのモニターが可能
③ヒーター付⇒リチウムは低温に弱く、BMSが「0℃以下」で充電停止「-20℃以下」で放電停止。雪景色も楽しみたい僕はヒーター付を選択「-20℃~5℃」の環境だと内蔵の加熱パッドが自動でバッテリーを10℃に加熱し充電を可能にします
仕様 | POWER PANASONIC PS121000 | LI-TIME 140A Bluetooth ヒーター付 |
---|---|---|
寸法(W*D*H) | 305*168*228㎜ | 330*172*230㎜ |
容量 | 100Ah | 140Ah |
実質容量 | 100Ah×0.5 =50A | 140Ah×0.9 =126A |
重量 | 30.84kg | 16.53kg |
サイクル回数 | 300~500回 | 4,000回以上 |
バッテリー寿命 | 2~3年 | 10年以上 |
充電温度 | -20℃~50℃ | 0℃~50℃ ヒーター付除く |
放電温度 | -40℃~60℃ | -20℃~60℃ |
ヒーター稼働 | -20℃~5℃ | |
保証 | 1年 | 5年 |
価格(購入時) | 51,300円 送料別途(4,300円) | 51,114円 送料無料 |



「RENOGY」も検討したのですが「PS121000」とほぼ同サイズで容量の大きな設定が無く「LI-TIME」を選択しました
「SUPER-B」は、お値段の関係で断念しました(苦笑)
「PS121000」が、元々高額な事もありますが、購入費用は逆に少し安価でした



充電サイクルは、残量0%から100%までの充電回数で示され「サイクル数4,000回」なら、1度の電池容量の残量を50%増やす場合、8,000回充電できるという事になります
通常の使い方だと車の寿命が先に尽きそうです(笑)


(左:リチウム140Ah 右:鉛 100Ah)


(手前:鉛 100Ah 奥:リチウム140Ah)



安全性が第一ですが、リチウムの弱点の充電・放電温度が解決出来れば、ほぼメリットしかない感じです
実質Ah容量は「約2.5倍」重量は、約半分となり合計「約29㎏」の軽量化です






(拡大可)


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リアルタイムに「入電量・出電量・蓄電量・監視状況」を確認できると安心感が格段に違いますね
トイファクトリーの「インフォメーションボード」で、電圧は確認出来ますが、蓄電量は分からず、いきなりの電圧降下による警告灯に慌てる事もありました
リチウムバッテリーに交換してどうなった?



リチウムに交換したら、車中泊が驚くほど快適になりました
鉛バッテリーがくたびれていたせいもありますが、小まめに冷蔵庫の温度を調整したり、ポータブル電源を併用しながら、電力を節約していましたが、リチウムだと、圧倒的な容量と充電スピードで、余り気にせず使用出来るようになりました
一番電力を必要とする「クールコンプ(エアコン)」も、試算では一晩ぐらい問題なく使用出来ると思います
これまで電力不足になると、近くの「RVパーク・オートキャンプ場」を探して、少し遠回りしても立寄って充電していましたが、気にする必要も無くなり行動範囲が更に広がりそうです
このストレスの軽減はとても大きいと感じます
まとめ
今回置き換えした「LI-TIME 12V 140A Bluetooth ヒーター付」は「鉛バッテリー」比較で、実質容量が「約2.5倍」又「入電量・出電量・蓄電量・監視状況」が見えるので、安心感は桁違いに高くなりました
充電設備の期待出来ない山や海だけでなく、加温ヒーターも内蔵しているので、スキーなど冬山も安心して滞在出来そうです。購入費用も「POWER PANASONIC PS121000」と余り変わりませんでした







僕はコスパ良く、快適性が向上し電力不足への不安感がとても少なくなったので、かなり良かったと感じています
不安点は、バッテリーが車両後部の為、後方や後方側面に衝撃を受けた際の発火等の可能性でしょうか?
トイファクトリーが採用した「SUPER-B」は、この点も安全性を確認していると思いますが「LI-TIMEバッテリー」について、その点の情報はありません



リチウムへの交換の必要性は「どんな家電をどのくらい使用するか?」次第ですね



サブバッテリーの負担が少ない使い方で、車両を5~6年で入れ替えするなら「鉛(価格次第ですが)」が、コスパが良いと思いますが「くるま旅」で、電力を余り気にせず、家電等を使えると快適さや安心感に繋がり、旅の自由度がより高くなると思います
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